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「私の絵に勝手に触ってんじゃねえ!」
鈴村はドロップキックを脇腹に受け、蹴り飛ばされた。
怒りよりも先に驚きがやってきて、ドロップキックをしてきた人の方を見た。
「芹野美羅!」
鈴村は彼女と直接的に話した経験はなかったけれど、彼女のことを知っていた。
芹野美羅は学校で有名な問題児だ。
授業中に先生から質問をされて、答えられずに暴れ出したり、学校を適当に抜け出したりとその破天荒な行動に先生たちも飽き飽きしている。
鈴村は絵具まみれの教室と芹野美羅の存在とが結びついた気がした。この人だったらこの教室の有様は納得ができる。
「私の絵、触ろうとしてたよな?」
芹野はものすごい剣幕で鈴村に迫り、鈴村はその形相に圧倒されそうになる。しかし、それよりも芹野がこの絵を描いたというのがにわかには信じがたかった。
「この絵……芹野が描いたの……?」
「だったら何? 私はその絵に触ったかどうか聞いてるの!」
「触ってはないよ。この絵に見とれちゃって……ごめん……」
「そう……。とりあえず出てけ。邪魔だから」
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