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私は首を振り、「なんでもないよ」と答えた。そう、とつまらなそうに清盛は言い、タバコの煙を吐き出した。白い煙はゆらゆらと登り、においを残して消えていく。
鶏ももの串を食べ、トマトハイを流し込んだ。焼き鳥はやっぱり冷えていて、固くなっていた。
居心地の悪さは消えない。タバコを吸う清盛の姿をもう一度見て、あぁ、もう合わないほうがいいのかもと直感的に思った。
私も清盛も出されたものを残さない主義だから、皿に残った食べ物を手分けして胃袋に詰め、店を出た。そのあと、いつもの流れでどちらかの家に行くことになった。今日は私の家だった。店から私のアパートまでは電車を使って30分ほど。自宅の最寄り駅に着くまで、ぷつりぷつりと会話をし、電車が駅に着くと、清盛は私と手を繋いだ。側から見ればカップルに見えるだろう。でも、実際はカップルはなく、恋人同士でもない。ただの友だち同士。
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