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次の朝、夏織はママの声で目を覚ましました。
飛び起きると、窓の外の空は、まだ薄っすらと光の膜に覆われています。時計を見ると、6時半。
今までは忌々しくてならなかった目覚まし時計を、初めて抱きしめました。
「早くご飯食べちゃいなさい」というママの声には、もう涙がこぼれそうな気持ちでした。
通学路の途中で会った陽菜は、夏織の顔見て、不思議そうに首を傾げました。
「毎年、登校日はがっかりした顔してたのに」
こんなにも学校へ行くことを心待ちにしていたことは、夏織にとっても初めてのことでした。
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