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夏休みも7周目に差しかかった頃でした。夏織はこの現象の原因に、ついに気が付きました。
何度も繰り返してしまう30日間。もう会話のセリフを覚えてしまうほどに、変わらないものです。ただ一つ、夏織の行動で、全く知らない場面に出会ったことがありました。
「あら、やってるのね。どう、進んでる?」
それは、今までやらなかったことをやってやる! とやけになって、『夏休みのとも』に取り組んでいた時でした。
もしかしたら、ちゃんとこれを終わらせたら、このループから抜け出せる……?
他の脱出方法はないように思えました。
夏織は恋愛マンガなんか放り出して、ひたすら問題を解いていきました。分からない問題は飛ばしたかったけれど、そうするとまた初日に戻されそうな気がして、教科書やドリルを見ながら、なんとか全問埋めます。
そうして『夏休みのとも』が終わったのは、最終日の11時半を回った頃。夏織は心からほっとして、倒れるように眠りに就くのでした。
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