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それでも僕は、走って追いかけた。兄の背中に追いついた頃には、頭からずぶ濡れになり、滴る雨水が唇をつたって口の中に入ってきた。
そんな姿で、僕は兄に背後からしがみついた。
「ちょっと待ってってば。ごまかさないでよ!」
息を切らしながら、僕の口唇は訴えた。
「ナリ。俺たちはもう子どもじゃない」
兄は口唇を動かしながら、持っている傘の半分を僕にさしてくれた。
「それにお前ももう高校生だろ。そろそろ、大人になれ」
(続く)
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