(四)

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 それでも僕は、走って追いかけた。兄の背中に追いついた頃には、頭からずぶ濡れになり、滴る雨水が唇をつたって口の中に入ってきた。  そんな姿で、僕は兄に背後からしがみついた。 「ちょっと待ってってば。ごまかさないでよ!」  息を切らしながら、僕の口唇は訴えた。 「ナリ。俺たちはもう子どもじゃない」  兄は口唇を動かしながら、持っている傘の半分を僕にさしてくれた。 「それにお前ももう高校生だろ。そろそろ、大人になれ」 (続く)
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