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兄は、しつこくまとわりつく僕を勢いよく払いのけた。僕は勢い余って水はけの悪いアスファルトの上に転んだ。
「鍵はポストに入れておいてくれ。明日から新学期だろ。学校ガンバレよ。気をつけて帰れよな」
兄は口唇をそう動かすと、ビニール傘に雨音を響かせながら、立ち去った。
僕はその場に崩れた。冷たくずぶ濡れになった顔に、熱い涙が頬を伝って落ちていった。そして僕の上下の口唇の間からは、大きな慟哭の吐息が鳴り響き続けた。
(了)
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