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目にかぶる前髪が、さらりと風に流れた。サブは歩調を緩め、そしてゆっくりと立ち止まった。
夕方の風が変わっていた。ひんやりし始めた。空の色も薄く、高くなった。
また夏が終わる。
自分の柄じゃないとわかっているけど、夏の終わりは、なんというか、センチメンタルになる。
特に、あの楽しかった夏があるから、余計にそうなんだ。
ハヤがいて、パルがいて、シュウがいて、リーダーがいて、それから、クールがいた。
子どもらしいいたずらや小さな冒険、くだらないケンカ、勝ち負けのつかない勝負事。いろんなことをした。笑った。走った。
クール。
お前のいない夏が、またひとつ過ぎたよ。
俺たちは、またひとつ大人になるよ。
おわり
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