夏の終わり

2/2
前へ
/2ページ
次へ
 目にかぶる前髪が、さらりと風に流れた。サブは歩調を緩め、そしてゆっくりと立ち止まった。  夕方の風が変わっていた。ひんやりし始めた。空の色も薄く、高くなった。  また夏が終わる。  自分の柄じゃないとわかっているけど、夏の終わりは、なんというか、センチメンタルになる。  特に、あの楽しかった夏があるから、余計にそうなんだ。  ハヤがいて、パルがいて、シュウがいて、リーダーがいて、それから、クールがいた。  子どもらしいいたずらや小さな冒険、くだらないケンカ、勝ち負けのつかない勝負事。いろんなことをした。笑った。走った。  クール。  お前のいない夏が、またひとつ過ぎたよ。  俺たちは、またひとつ大人になるよ。 おわり
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加