夏の終わり

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 この夏の稼ぎは上々だ。  支払われた賃金をポケットで握りしめ、サブはにんまりした。気分はホクホク。  子どもができる仕事なんて、現場の雑用くらいなものだけれど、今夏はあちこちで工事や施工があったから、目一杯稼がせてもらえた。  これなら冬用に、厚手の毛布を買えそうだ。俺、偉い。よく働いた。  長い前髪でにやける顔をひたすら隠す。  けれど、スキップをしている時点で、機嫌のよさは周囲にバレバレだ。  それでもサブは、跳ねる気分を止められない。  だが不意に、目元が、少し悲し気に下がった。  クール。  お前の言う通り、この稼ぎ方は俺に合ってるよ。
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