あの日、全力で泣いていた妹

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 その足でお母さんはその農家さんの方へ歩いて行ってこちらの方を指差して話していた。 「あの家の者ですけど、暑いのでうちで赤ちゃんを預かりましょうか」とでも言っていたんだろう。 農家さんのお父さんとお母さんが何度も頭を下げているのが見えた。 しばらくすると、お母さんが赤ちゃんを抱いて戻って来た。 まだ6ヶ月のひろ絵と言う女の子だった。 預かって来たオムツを替えて哺乳瓶で水分をやると家の中は涼しいからか、ひろ絵はスヤスヤ寝はじめた。 赤ちゃんは珍しいので、僕たちもしばらく見ていた。 お父さんは少し離れたソファに座り新聞を読みながら時折、ひろ絵に目をやると言うポーカーフェイスを決め込んでいたっけ。
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