あの日、全力で泣いていた妹

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 それからは、前の畑にあの農家さんが来るたびにお母さんはひろ絵を迎えに行って夕方、帰る時に農家さんのお母さんが迎えに来た。 決まって手には採れたての野菜を持って来て下さった。 何度もお礼を言って帰って行くお母さんは農作業の手ぬぐいを取るとまだまだ若い顔をしていた。 お母さんが言うには25歳と28歳のご夫婦で、誰もみてくれる人がいないのでかわいそうだけど畑に連れて来ていたと言っていたそうだ。 僕たちもちょっとお母さんが忙しい時なんか「おんぶしてて」なんて言われておんぶさせられたこともあったんだ。 僕たちの学校が始まってもお母さんはひろ絵を預かってみてあげていたんだけれどかなり楽しかったみたい。 そろそろ秋になって来てあの農家さんが稲刈りで畑に来ない日は「ちょっと淋しいね」なんて言うほどにまでなっていた。
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