あの日、全力で泣いていた妹

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 時は過ぎ、ひろ絵が嫁に行くことが決まった。 季節はそろそろ夏が終わりを告げる9月になっていた。 ひろ絵は着物を着て挨拶に来たそうだ。 結婚式に出席して欲しいと言ってくれたそうだけれど結局、式に出席したのはお父さんだった。 ことの始まりはお父さんの一言からだったからだ。 お母さんは、それで十分だったようで本当の娘を嫁に出した気持ちだと言っていた。 僕は趣味で焼物をやっていたので傘立てを作って贈った。 浩二は祝電をうち"おんぶしてあげた兄が二人いたことを忘れないでよ"なんて書いたようだ。 ひょんなことから知り合った僕たち家族とひろ絵の家族……。 今年も年賀状が届いた。 ひろ絵の幸せをみんな全力で祈ってるからな。
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