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静かに呼吸を繰り返す彼の音がする。俺はそれをティッシュで拭いながら困った事に気が付いた。
(俺、勃起しちゃってる)
無理もないと言いたい。目の前にはあられもない姿で脱力しているリヒトが居るのだ。
冷静に考えなくても何をやってしまったのかと思うが、こんなにクるものだとは思わなくて
ティッシュをまた数枚取って、彼の身体にも飛び散った白濁をすべて拭ってから捨てた。
移動して自分のグラスに水を注ぎ、とりあえず1杯飲んだ。鏡の前で薄く息を吐いて、少しずつ落ち着いてきた。
興味を抱いてやってしまった感は否めない、でも確実なのは今するべき事ではない
とにかくここで冷静になって、看病に努めなくてはと気持ちを切り替えようと思った時だった。
突然左肩に重みを感じ、顔を振り返るそのタイミングで唇を重ねられた。
後ろから覗き込むような感じで、いつの間にかリヒトが急接近していた。
ゆっくりと唇が離れ、鏡を背にしてしゃがみ込むと同時に下着を少し下ろされた。
「っリヒト…!待っ、て」
口に含まれ、舌を巧みに使いながら上下に刺激を加えられた。
止める為にぐっと頭を掴んだ。んんッ、とこもったような声と共に彼の動きが止まる。
「せめて、治ってから」
「……なら、尚更…」
再び動き出そうとする彼を待て待てと静止させる。尚更ってなんだ、と聞けば彼は火照った顔なのに苦しそうな表情をした。
「……分からない、でも……欲しい、ボスが…欲しい……」
冷静さをお互い保っているつもりでも、既にそれは建前でしかなかった。
俺は意を決して、リヒトと共にベッドへと戻った。
彼を先程と同じように寝かせ、膝を立たせてから俺はその足の間に入り込んだ。
棚に入っていたのを見ないふりをしていたが、こうなってしまったらコレを使わない手はない
その名もローション、早速手の平に出して彼の中を解そうと試みる。
(……おかしいな、もう挿れられそうなんだけど)
彼をチラ見すると目が合って、控えめに逸らされた。何かやっただろ、と聞けば小さく顔を左右に振った。
「ふーん……何もやってないんだ〜」
指を2本、ぐりぐりと回しながら挿れると彼のモノがぴくぴくと反応した。
ローションによる潤いもあるだろうが、すぐにこうなるはずはない事くらい俺にも分かる。
「本当かな〜」
ぐりっ、と中の一部を擦るように押すとびくんっとリヒトが小さく跳ねた。
「んぅッ…!……あっ、は、うぅ…!」
「おかしいんだよね、まだそんなにローションも使ってないのに」
「ッあ!あっ、い、あぁッ!…待っ、ボスっ、はんんッ!」
立て続けにぐりぐりと中の一点を攻めると、彼はそれに耐えようとしながらも逃げるような矛盾した行動を取る。
「ボスっ、そこ…!んっ、うぁあッ」
彼とまた目が合って、何したのと改めて聞くとリヒトは手の甲で口元を隠しながらも魔術だと答えた。
「……んッ、我慢、出来なくてっ…すぐ、だからっ…」
指はあっという間に3本入る。どういう魔術なのか不思議だけど、この具合であれば問題なさそうだ
ずるりと指を引き抜いてから自らを何度か扱き彼へ宛がう。期待するようにそこはヒクヒクと反応していた。
「…っあ、んうっ……ボス、…んっ」
ぐぷぷっとめり込むように挿入していき、何度か引いたり挿れたりを繰り返した。
包まれるような、ほどよい締め付けで思わず息を吐いた。
ゆっくりと律動すると、リヒトはそれを受け入れつつも自らのモノを扱いていた。
「ん、うぁっ、ボス…気持ち、い…!はぁっ、あぁッ」
(う、……やば、もうイきそ…)
打ち付ける腰を早め、部屋に肌のぶつかる音が響く、同時に接合部分からの卑猥な音も重なる。
ぐっ、と押し込んでから引き抜いてリヒトの臍を目掛けて射精した。
それを受けてかリヒトも射精し、2人分の白濁が腹周辺で混ざった。
「んっ、あぁッ…!……ボス…の、」
彼はそれをすくってぺろっと舐めた。何度か繰り返し、満足そうな表情でぼーっとしていた。
割とすぐに気持ちの切り替えが出来ていた俺はやってしまった、という想いが更に大きくなっていた。
初めて彼と身体を交えたのは“契約”という名目があったから辛うじて言い訳出来ていたが、今回は違う。
リヒトだって熱に浮かされていただけに違いない、そうだとしても俺は何をやってんだ
(でも、リヒトがこんな……)
ちらっと見れば俺よりどこもかしこも男らしいし、守ってくれるし心配もしてくれる。
とにかくリヒトと出会えたからこそこうして生きていられているのは間違いない
なのにこんな欲にまみれた事しちゃったし、彼が受け入れてくれる状況に甘えているだけだ
(元の世界に戻れる保証だってないからこそ、早く自立出来るようにならなきゃ…)
すっと立ち上がり、とりあえずやらかしてしまったあれこれを片付ける事にした。
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