15人が本棚に入れています
本棚に追加
彼は肩で大きく息をしそのまま腰を再び動かし始めた。夢だからなのか、誰かに跨がっている事は分かるのに誰だか分からない
『あぁっ、あ…!はっ、はぁあっ……』
目の前で乱れるリヒトを見て、もっと先を知りたいと思った。近寄り彼の視界に入ってからキスを求めた。
『ん、ふぅッ…!ぅん、んんッ』
肩に手を乗せ、より舌が絡ませ深くなる。これだけでも気持ちが良い
彼を犯している律動が早まって口が離れると、切なくも艶かしく喘ぐリヒトに俺は欲情した。
俺のモノを握ろうとするも、動きが激しくて難しいようだ。構わず俺はそのまま自らを扱き出す。
『あっ、あぁっ!ダメ…ダメっ、だ…!こんな、イぃッ…』
良いところだったのに、なんて思うくらい濃厚な夢を見た。興奮した影響なのかは分からないが、何となく暑い気もした。
静かに起き上がり、リヒトの居る方向を見るがまだ寝ているようだった。ストールを取り、そのままトイレへ向かった。
折り畳まれていたフェイスタオルを手にし、もう一度リヒトの様子を伺ってから扉を静かに閉めた。
(欲求不満なのかな…… そんなわけ…)
心待ちにしていたかのように俺は勃起していた。少し擦れば先走りが溢れ、それを使って滑りを良くする。
「はッ…あっ!……ふ…」
慌ててフェイスタオルを掴み、落ちないよう首に回してからそれを噛んだ。
陰茎を扱くといやらしい音がする。目を閉じて夢に出て来たリヒトを思い出す。
身体を伝う汗がタトゥーを魅せ、それにつられる声にもそそられた。
「んっ……う、んぐっ…!」
そろそろ起きてもいい時間だよな、と思ってリヒトを覗き込んでみた。
「あ、起きてた」
「……準備する…」
彼は気怠そうに起き上がり、支度をしながら歩き始めた。忘れ物に気付いて俺はそれを取った。
「リヒト、これ…忘れんなよ」
すっとマフラーを差し出した。一拍置いて、手が伸びて来たかと思ったら彼は俺ごと抱き締めてきた。
「おいっ…!まだ寝ぼけてんのかっ」
「……そう、かもしれない」
彼はすぐにパッと離れ、マフラーをいつものように巻いて支度を進めた。朝から何を、と思ったけど俺が言える立場じゃなかった。
手の平を見つめた、想像のリヒトを汚したくせして。現実じゃないからと頭で言い訳しながら彼を待った。
地図を確認しつつ集会所を目指した。ボス、と声を掛けられたので歩きながら振り返った。
「…エースを、どうするんだ?」
「え?どうするって」
仲間になってもらいたい、それ以外に何があるのだろう
「何かあるのか?リヒトだって探してたんじゃ…… うおっ!?」
どん、と何かにぶつかって焦った。慌てて振り返ると、会う予定だった張本人のエースが立っていた。
「お前達は、昨日の」
「あっ…!今から集会所に行くんですか?」
「受付しに行くところだ、話があるなら集会所の待合場で待っていてくれ」
そう告げると、俺達に構わずエースは集会所へ向かって行ってしまった。
「……ボス、人の心が大きく揺さぶられる瞬間はどの時だと思う」
「え?うーん、感動したり衝撃的な事があれば…って何で急にそんな事聞くの?」
一瞥された後にほんの少し微笑まれたかと思えば、リヒトはそのまま集会所へ行ってしまった。
投げ掛けられた質問に返答もないまま置いていかれそうになり、急いで彼を追いかけた。
言われた通りに集会所の待合場でエースを待つことにした。それにしてもここの集会所は少し荒れていた。
(待合場っていうか…… たまり場が出来てるし…)
一見は素行の悪そうな人達が集っては大声を上げたり笑ったり、しかしここではこれも日常なのか気にする人もあまり居ない
初めに行った集会所は活気というか、賑わっているような雰囲気があった。
「アナタ達、誰を待ってるの?もしかして…… エース?」
突然2人の女性組に声を掛けられた。どちらも露出が高く、大きく魅せられた谷間に目が行きそうになった。
「…そんなところだ」
リヒトは興味なさげに答える。俺はどう対応したらいいか内心焦る、友好的なのも突っぱねるのも違うかなとトラインの常識に板挟みされていた。
「アドバイスしてあげる、エースはなかなか陥落しないわよ」
「か、陥落…?」
「あら?仲間に引き入れようとしてたんじゃないの?」
仲間に誘おうとしていたのは事実だが、まさか陥落とまで言い換えられているとは思わなかった。
「……だから次の依頼、アタシ達と組まない?アナタ弱そうだけどいざという時に守ってくれそうだし」
「え〜!私はこっちの子かな〜 顔はよく見えないけどオーラがすっごいもん」
やっぱり俺って弱そうに見えるんだ、と少し落ち込んだ。否定は出来ないけど、こんなストレートに言われるとは
苦笑しながら結構です、と断るもあまり話を聞いてもらえず2人でキャーキャー盛り上がっている。
最初のコメントを投稿しよう!