情報を追い求めて

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依頼主の家に着き、ドアノッカーをコンコンと鳴らしてみた。しばらくすると松葉杖をついた褐色肌のお兄さんが出て来た。 耳を見てすぐにエルフだと気付いたが、よく見るとゴツいピアスをしているし、指にも似たような指輪をしていた。 「おっ♪いらっしゃい!キミ達が依頼を引き受けてくれた方々かな?」 「はい、もっと内容を詳しく聞かせて頂きたくて」 入って入って♪と招かれ部屋に通されると、外観では想像出来ないくらい豪華な内装をしていて困惑した。 「えっと、来る途中にカリコリボネを買いました。これだけで飛び付いちゃうとの事ですが…」 「あ、ゴメン!カリコリボネでもランクがあってね、そっちは興味を示さないかも」 こっちだよ、と手渡されたのはゴールデンカリコリボネ。多分高いんだろうなぁとすぐに察した。 「それとね首輪に位置情報を特定出来る魔術を掛けてあるんだけど、最近特定が大きくズレるんだよね」 リヒトがぴくりと反応したが、特に何も言わず依頼主を見いやる。 「そういえばまだ名乗ってなかったね。私はコルンス、見てわかる通り足を怪我していて探すのが難しい状態なんだ」 「俺はユヅキで、こっちはリヒトです。改めてよろしくお願いします」 軽い会釈だけしてリヒトは黙っていた。今思えば初対面の人からするとあまり喋らないしひょっとしたら怖いかも?と苦笑した。 ただコルンスさんも只者ではないのはあきらかで、リヒトのような口数の少ない人もそれほど気にされないのかもしれない 「ユヅキくんとリヒトくんね、早速だけど位置情報の記録はどちらに渡せばいいかな?」 「俺でいい…」 すかさずリヒトは魔術を展開し、コルンスさんから位置情報を受け取った様子が見えた。 ゲームで似たような画面を見た事があるな、と思いながらそれを眺めていた。 ゴールデンカリコリボネと受け取った位置情報を頼りに、その周辺を探ってみることにした。 「……特定がズレるどころか、複数の何かに反応してる…」 「依頼書に記載されてた通り、どれもべーライズの外だしバラバラだね。近くの所から探ってみるか」 情報を頼りに街道を歩き、途中から分かれ道どころかやや獣道になっていた。 (なんか…ジメジメする) 湿度というのか、肌がしっとりするというのか。そこまで不快でもない、かといって快適というわけでもない 周囲は山林で、あちこちに変色した沼がある。位置情報は変わらず捉えてくれてはいるが、本当にこんな所まで来たのだろうか 「あれ…?もしかしてゴールデンカリコリボネじゃないか?」 少し先に何か見覚えのある物を見つけて駆け寄った。拾って見せ付けるように振り返ると、リヒトが膝をついていた。 「リヒト!?」 「…めまいだ、問題ない……」 急いで彼の元へ駆け付け、問題なくないだろと言った矢先に腕を捕まれ睨まれた。 「ボス…!……その、骨が…もし、安全な物じゃなかったら、…どうする……」 迂闊だった。これが偽物の骨だったとしたら。何も起きなかったから良かったけど、万が一起きていたとしたら 「ご、ごめん……あの、リヒトは…大丈夫?」 聞いてみたが大丈夫そうには見えず、彼の腕を肩に回して立ち上がった。 呼吸も荒く、顔もおそらく赤いだろう。発熱だろうか、このままでは良くない 元来た道を戻っていき、べーライズで休憩を取ることにした。 着いてすぐ近くにあったベンチに座らせ背中をさすってやる。これだけでどうにかなるとは思えないが、他にどうしたらいいのだろう 「何か飲む?買ってくるよ」 彼は下を俯いたまま喋らず、呼吸もまだ落ち着いていないようで小さくはぁはぁと聞こえる。 (……俺は、何も助けてあげられてない…) 触れているだけでも体が熱くなり始めていた。悔やんでる暇なんてないだろ、と俺は立ち上がった。 「もう少しだけ、歩けるか…?」 ほぼ無反応に近いが、俺は再び彼の腕を肩に回して歩き始めた。 華やかではあるのにやや怪しい雰囲気のホテルしか見つからず、どうもこの辺りはその手の宿泊施設しかなさそうだった。 けれどもこの状況であまり歩かせたくはないし、背に腹は代えられないので利用させてもらう事にした。 簡単な受付を済ませ、指定された番号の部屋へと向かい鍵を開けた。そのままリヒトをベッドに寝かせてからグラスを取り出した。 氷を入れ水を注いでから近くのテーブルに置き、彼のマフラーを取ってフードも下ろした。 目は薄く開いているものの、どこを見ているのか分からない。前髪を上げ額に触れると微熱、ぐらいだろうか 負担のないよう軽装にし、タオルを水に付けて絞ってから額に置いてやる。部屋の気温や空調も操作して過ごしやすいよう調整した。 様子見しつつ薄手のタオルケットを掛けてやり、そこら中の引き出しを開けてみたがこれといって使えそうな物はなかった。 イスを移動させ、彼のそばに近付いて様子を窺ってみた。
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