前世の知識でお弁当屋を開きましたが、仕事仲間の第二王子から溺愛されるなんて聞いてません

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 あぁ。今この瞬間、わたしがいちばん嬉しいと思う……。 「皆さま、大変お待たせしました。『ホカベン』、開店いたしますわ!」  事前告知もしっかりとしておいたおかげで、店には行列ができていた。 「開店おめでとうございます、お嬢さま」 「どれもふしぎな見た目ですね」 「だけど、いいにおい~。どんどんお腹が空いてきちゃいます」 「とりあえずひとつずつください!」  次々とお客さんがお弁当を買い求めてくれる。  負けじとわたしも声を張り上げた。 「美しい湖を眺めながら、美味しいお弁当はいかがですか~!」  うんうん、順調な滑り出し!  キッチンでは従業員の皆さんががんばって調理にあたってくれている。  お弁当屋が繁盛すれば雇用も生まれる。ゆくゆくはチェーン展開していきたいというのは密かな野望だ。 「いらっしゃいませ!」 「お待たせしました!」 「ありがとうございます!」  お客さんはひっきりなしに訪れた。  おかげで予定していたよりも早く、初日は完売してしまった。  湖畔には狙い通りお弁当を楽しむ人々が溢れている。やったね! 「ありがとうございましたー!」  最後のお客さんを見送ったところで、突然、目の前に箱馬車が現れた。  箱馬車ということは他の領地のお偉いさんだろうか。  初日から噂を聞きつけてやって来たとはなかなかな情報通だ。 「ここが『ホカベン』か?」
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