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「美味すぎる! どうして今まで知らなかったのか後悔するレベルだ!」
分かります、殿下。から揚げって美味しいですよね……。
しかも殿下は20代前半。から揚げを一番美味しく食べられるお年頃のはず。
そしてあっという間にみっつのお弁当は空になった。
「どれもいい味わいだった」
わぁっ、と歓声が上がる。中には泣いている従業員さんもいる。
かくいうわたしもなんだか泣きそうだ。
「これは繁盛するだろうな」
「ありがとうございます!!」
感謝の声を上げたのはお父様だ。
「さぁ、開店の準備をしよう。今日も行列ができている」
殿下の視線に気づいて外を見ると、昨日より行列が長くなっている。
これは……気合を入れなければ……!
§
殿下はわたしたちがびっくりするくらいよく働かれた。
陣頭指揮を取ってくれて、てきぱきとさばいていくその様はとても鮮やか。
そしてお弁当は、初日よりも早い時間に完売してしまった。
「皆、ご苦労だった。ゆっくり休むといい」
ぐったりとした空気のなか、殿下だけが疲れひとつ見せずに立っている。
汗ひとつかいておらず、涼しい顔をしている。
わたしなんてなけなしの化粧が全部落ちてしまったというのに。ちょっとうらやましい。
皆が割烹着を脱ぎはじめるなか、殿下がキッチンへ足を踏み入れた。
「どうなさいましたか?」
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