前世の知識でお弁当屋を開きましたが、仕事仲間の第二王子から溺愛されるなんて聞いてません

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 さーっと血の気が引いていく。  それって、『おもしれー女』がわたしってこと!?  信じられない。どうしてこんなことに……。  気絶しそうになっているわたしの耳元へ、楽しそうに殿下は囁いてくる。 「ということでこれから向かうのは舶来の調味料を取りそろえた食料店だ。原料は大豆が中心らしく、発酵させてペースト状にしたものや、糸を引く変わった大豆、それから、真っ白でやわらかな加工食品があると聞いている」 「みそ、納豆、豆腐!? 行きます!!」 「決まりだな」  くつくつと笑い、殿下が手を差し出してくる。 「……」  逡巡ののち、わたしは観念した。 「……よろしくお願いします」  ぐいっと体を引き寄せられ、わたしは殿下の胸のなかにすっぽりと収まってしまう。 「そういうところがすごく好きだ。アドリエンヌ嬢、結婚してほしい」  殿下の声が、とっても楽しそうに聞こえる。  悲鳴を上げなかった自分を褒めたい。  きっと、わたしはこれから今日のことを振り返る度、そう思うことになるだろう。   ――やがてふたりがなんやかんやの苦難を乗り越えて結婚して、お弁当の文化を国じゅうに広めていくのは、遠くない未来の話である――

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