牧水・短歌甲子園

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牧水・短歌甲子園

 宮崎県日向市出身の若山牧水にちなんで牧水・短歌甲子園が始まったのは2011年だそうだ。 松山俳句甲子園は1998年に地元大会から出発し、2005年に文部省から学リンピックとして位置付けられたそうだ。 俳句の日にちなんで開催されるそうだけど、短歌甲子園は夏休みの最後の頃になる。 文芸部としてはどちらも出席出来るように準備しているそうだ。そんな簡単にはいかないけど、やってみる価値はあると直人は言う。 相変わらず直人は私を『お前』と呼ぶ。本当は慣れっこだった。でも高校生になってから妙に気になっていた。  「もしかしたら恋人?」 何も知らない部活のメンバーはいい加減なことを言う。本当は見透かれたのかもと思ってドキドキした。 「やっぱり彼のことを好きなんだね」 その言葉に慌てて首を振った。それを見て急に笑い出したので、私は彼女の口を手で塞いだ。 「解った。内緒にしとけってことね」 ぎこちないウインクを送る彼女は何かを掴んだらしい。 「何時の間に、幼なじみの、あの人は」 突然フラれた私は戸惑った。 「連歌よ。続きは貴女が詠むの」 「連歌? 連句じゃなくて……」 「新入りなのに連句を知っているの?」 その質問に頷いた。 「確か松山市出身の高浜虚子さんが提唱したとか聞きましたが……。でも私が知っているのはそのくらいです」 「連句のことは私も良く知らないの。ただ上の句を誰かが詠んで、その下を皆が詠む。ってとこかな?」 「連歌は尚更解りません」 私は下に七七を足すのが嫌でそう言ってしまった。『何時の間に、幼なじみの、あの人は』その後に何を足していいものかも解らなかった。だって気になる存在だってばらしそうだからだ。 「そうね。まだ入ったばかりだからね。直人さんと一緒に勉強してね」 彼女は又ウインクをした。
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