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結果、最悪だったと煜太は自宅のソファで項垂れていた。
「ほんっとに煜太さん、大人気ないよ」
「はい、その通りです。湊さんの言う通りです」
珍しく、というより湊と出会って初めての形勢逆転。けれど、今はそれが当然というように、煜太は湊の話に聞き入っている。
「あのさ、確かについてくればとは言ったよ?けど、マジでついてくるなんて普通思う?」
いや、そうだよな。ごもっとも。
「…そんなに俺が心配だった?そりゃあ、煜太さんと比べればめちゃくちゃガキっぽいし、高校生に見えなくもないけど」
「いや、そうじゃない!俺が心配だって意味はそうじゃなくて」
ああ、駄目だ。この流れはまた湊に入らぬ誤解を生ませるだけだ、と煜太は悟る。
湊は高飛車な猫に見えて実のところ、中身はうさぎのように弱い。
自分にとことん自信がないからか、口癖はいつも「俺なんて」だ。
しかし、実際はその真逆でだからこそ、煜太は心配で堪らない。
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