0人が本棚に入れています
本棚に追加
今朝の天候、晴れ。風は山の上だから やや強め、これは仕方ない。
それじゃ、行きますか。
歩く。歩く。
時々 足元と道を確認しながら また歩く。
…遠い、長い、重い。
「お前、本当に弱っちくなったのな。汗まみれで苦痛に顔しかめてたら 美人の意味ないぞ?」
うう…返す言葉が…愚の音しか出ない。
はぁ、山を下りるだけで こんなに苦労するなんて。荷物まで持たせちゃったし。あー やっと、沼の近くの宿が見えた。
「あ、ありがとう。」
ガランスが手を出してくれた。平地だけど 手を引いてもらう。こんなに くたくたになったのって 子どもの時ぶりかしら。
宿にクラレットは やっぱりいなかった。
夕食も、どうやって ベッドに入ったのかも、記憶がない。それでも 朝は回復できてたから良かった。
平原も、遠い、長い、危ない。
2人は強いけど、モンスターの攻撃を躱す時に跳ねた小石や草とかで傷ができる。
「あれ、お前…顔には傷つかないんだな。」
え?
「お!本当だ。いっそのこと、全身きれいに変えたら無敵になったかもな。」
ガランスまで…。2人して 好き勝手 言って。駄目だわ、もう思考停止。
どうやって 宿に着いたかさえ記憶がない。気がついたら宿のベッドに寝ていた。あ……「シアン。もう 朝?」
「朝と言うには遅いかな。まだ 昼でもないけど。
大丈夫か? 動けるなら 丈夫な服を買いに行くぞ。それじゃ傷だらけになるから。あと、新しい武器も選ばないとな。」
「…ごめんね。」
服はなるべく 軽く柔らかくて 防御力の高い物を。
次は武器。力が壊滅的に無い 今の私が使える物。ふーん、前に寄った時より 面白いものが増えてる♪…けど、無難に杖しかないわね。一択。
「おじさん、杖がほしい。」
「杖ね。今 持ってるのは 風の石を嵌め込んであるよ。」
「炎がいいな。」
「炎系だったら右のほうだ。予算は?」
「えーっとね…」
「毎度ありー♪」
元気な店主の声と、扉に付けられてる鐘のカランカランという音は 以前と変わらない。普段と違うところは、荷物をシアンが持ってくれている。
「お前、値切るのうまいな。」
「違っ、おじさんがサービスしてくれたんだって。やっぱ可愛いと特なんだね。」
「どうかな〜。弱っちぃのを察して同情したのかもな。」
「それも有り得る…。」それはなんか残念な気分になる。
さて。
昼食の後からでも杖を使ってみよう。
最初のコメントを投稿しよう!