顔しか勝たん☆

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今朝の天候、晴れ。風は山の上だから やや強め、これは仕方ない。 それじゃ、行きますか。 歩く。歩く。 時々 足元と道を確認しながら また歩く。 …遠い、長い、重い。 「お前、本当に弱っちくなったのな。汗まみれで苦痛(くつう)に顔しかめてたら 美人の意味ないぞ?」 うう…返す言葉が…(ぐう)()しか出ない。 はぁ、山を()りるだけで こんなに苦労(くろう)するなんて。荷物(にもつ)まで持たせちゃったし。あー やっと、沼の近くの宿が見えた。 「あ、ありがとう。」 ガランスが手を出してくれた。平地だけど 手を引いてもらう。こんなに くたくたになったのって 子どもの時ぶりかしら。 宿にクラレットは やっぱりいなかった。 夕食も、どうやって ベッドに入ったのかも、記憶(きおく)がない。それでも 朝は回復できてたから良かった。 平原も、遠い、長い、危ない。 2人は強いけど、モンスターの攻撃(こうげき)(かわ)す時に()ねた小石や草とかで(きず)ができる。 「あれ、お前…顔には傷つかないんだな。」 え? 「お!本当だ。いっそのこと、全身(ぜんしん)きれいに変えたら無敵(むてき)になったかもな。」 ガランスまで…。2人して 好き勝手 言って。駄目だわ、もう思考停止(しこうていし)。 どうやって 宿に着いたかさえ記憶がない。気がついたら宿のベッドに寝ていた。あ……「シアン。もう 朝?」 「朝と言うには遅いかな。まだ 昼でもないけど。 大丈夫か? 動けるなら 丈夫な服を買いに行くぞ。それじゃ傷だらけになるから。あと、新しい武器も選ばないとな。」 「…ごめんね。」 服はなるべく 軽く(やわ)らかくて 防御力(ぼうぎょりょく)の高い物を。 次は武器。力が壊滅的(かいめつてき)に無い 今の私が使える物。ふーん、前に()った時より 面白(おもしろ)いものが()えてる♪…けど、無難(ぶなん)(つえ)しかないわね。一択(いったく)。 「おじさん、杖がほしい。」 「杖ね。今 持ってるのは 風の石を()め込んであるよ。」 「(ほのお)がいいな。」 「炎系だったら右のほうだ。予算(よさん)は?」 「えーっとね…」 「毎度(まいど)ありー♪」 元気な店主(てんしゅ)の声と、(とびら)に付けられてる(かね)のカランカランという音は 以前と変わらない。普段(ふだん)(ちが)うところは、荷物(にもつ)をシアンが持ってくれている。 「お前、値切(ねぎ)るのうまいな。」 「違っ、おじさんがサービスしてくれたんだって。やっぱ可愛いと特なんだね。」 「どうかな〜。弱っちぃのを(さっ)して同情(どうじょう)したのかもな。」 「それも()()る…。」それはなんか残念(ざんねん)な気分になる。 さて。 昼食の後からでも杖を使ってみよう。
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