顔しか勝たん☆

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杖の(あつか)い、問題なし。すぐに実践(じっせん)効果(こうか)を出せそう。疲れたらついて歩けるから、体力が()った私には最適だわ♪ 「ここに いたのか。」 「あ、シアン。杖も便利だよ、火を起こせるし。――って、何かあった?」 「うん。杖は軽いし、服も動き(やす )そうだな。 ちょこっと、ガランスが呼んでるから行こう。」 なんだろう? 次の目的地への進路確認?私絡(わたしがら)みの緊急会議(きんきゅうかいぎ)?不安だ……え?「喫茶店(きっさてん)?」 「そう。杖の練習もしてたし、小腹が空いたんじゃない?」 「うん。…あ!」 ガランスの向かいにクラレットがいる。 「クラレット、こんにちは。」 「…………誰?」 「え…あ、私、」 「ごめん、迷惑(めいわく)だから。」 「だ、…大丈夫か?」 思わず店を飛び出してしゃがみ込んだ私の、耳元に聞こえる この声は…シアン。 「ショック過ぎて、店 出て来ちゃった。」 クラレットのあんな冷たい目、初めて見た。声も…怖かった。 「お前は知らないだろうけど、クラレットって、本命以外には いつも冷たいから。」 「本命?」 「うん。他の女と一緒にいるとこ、見たことないよ。 こんなことになるなら…、お前の望み、先に聞いておくんだったな。」 うう… 「泣くな。…いや、我慢(がまん)できなかったら泣け。」 「優じい゛…ぅぅ。」 「すげぇな、泣いても顔 (くず)れないんだな…。うわっ、その顔で(はな)()らすなや!なんか(ゆる)せん。」 「だって、中身は私だし。なんか、もう…マジ(まんじ)ぃ…。」 「?…マジでワケワカメ。」 「俺からクラレットに話して来ようか?」 そうか、私に気づかなかっただけだから…いや、顔が変わったことで嫌悪(けんお)されたら…やっぱ 無理。 「いらない。もう、この顔面(がんめん)を生かして富豪(ふごう)の嫁になって遊んで暮らす。」 「それも いいかもな。クラレットのことはどうする?まだ告白してないけど。」 そうだね、でも 告白なんて無理。 でも、クラレットを忘れて遊んで暮らすのも きっと無理。 ……はぁ…………むぅ……決めた! 「シアン、私 もう1回 神殿に行く。 神殿で、元の姿に戻してもらう。」 「・・・はぁ!?…そうだな。その顔は(ととの)い過ぎて 気持ち悪い。人間じゃないものが(そば)で動いてるみたいで。」 …ふうん。
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