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私の感情が浮き沈みしてる間に、大きな沼の前にきた。沼の周りに立て札がたくさんある…朽ちたり、壊れかけてるのもある。どれどれ? 所々の字が掠れてる…
「えーっと、宿?」
「よしっ、宿を目指そう。」
「ああ。この沼を右周りに行けば良いんだな?」
近っ!ほんの5分ほど歩いただけで 宿が見えてきた。
「ねえ、モンスターが少なくて楽だけどさぁ…体が鈍っちゃう。」
そうだ、ここの平原広いし。ちょっと振っとこう。鞭の風を切る音と、破壊する音の爽快感。堪らんわ〜♪
ーーグア!!
ん、グア?
「なぁ、なんか聞こえたよな?」
「私も聞こえた。」
「シアン、アシエ、そこに倒れてる。沼に生息する竜だ。」
「スゲェ…お前、目ぇ使わないでモンスター倒せるんだな。そこそこ大物だぞ。」
「いや、なんか語弊の予感…。」
鞭は丸けて腰に下げて、大人しく歩こう。
そうして、宿に到着。
マントのゴミと埃をほろって、2人の後から私も中へ。やっぱり先客がいたか。―――あ、クラレット! 小さなカウンターのスペースになっている所にクラレットを発見。
「クラレット、お久しぶりー。」
「アシエ。半年振りくらい?元気そうだね。」
「うん、元気。クラレットの顔を見たら、疲れていても回復しちゃうよ。」
あー、癒やしだぁ。幸せぇ。大好きなクラレットに会えたぁ。
「アシエ、外で物凄い音がしてたけど、モンスターに襲われなかった?無事に宿に着いたから良かったけど。怖い思いしなかったかい?」
「クラレット…。うん、平気。」
なんて優しいの、胸が温かくなるわ。
肩をぽんっと叩かれて振り返ると、シアンがニヤけてる。
「なーに?」
「別にぃ。大好きなクラレットに会えて良かったな。」
「?…うん。」
態度に含みを感じるけど、素直に嬉しい。この時間を少しでも幸せに過ごさなくちゃ。
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