顔しか勝たん☆

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―――なんだろう? 玄関付近(げんかん ふきん)(さわ)がしい。また宿泊客(しゅくはくきゃく)()えるのか。今夜は3組かな? 「随分賑(ずいぶんにぎ)やかだね?何かあったのかな?」と、クラレットも玄関の方を向いた。 こういう時は、知らない人でも意気投合(いきとうごう)したりする。宿の主人が 何があったのかと(たず)ねると、頭にバンダナをして(はな)ピアスをしてる男性が話し出した。小さくザワつきながらも、宿の人達も客も みんな静かに聞いている。 「それがよ、でっかいモンスターが(あば)れたみたいなんだ。」 「この平原辺(へいげんあた)りじゃ、数も大きさも知れてますよ?」 「いーや、相当 でかいやつだ。そこに大きい沼があるだろ?沼の辺りの巨岩(きょがんが)(くだ)かれまくっていてよぉ、沼の(りゅう)一撃(いちげき)で倒されてたんだ。あんなもん、そこいらのモンスターのレベルじゃない。」 ―――――んん? 私の中でその(なぞ)解決(かいけつ)してる気がする。ということで、クラレットとの時間を大切にしよう。 クラレットを見ると、みんながよっぽど大きな(りゅう)が通ったんじゃないかと()り上がる、その様子に興味津々(きょうみしんしん)になってる。 ぽんっと、また肩を叩かれた。振り向くまでもなく、シアンだってわかる。一応振り向いたら やっぱりシアンで、ニヤけ顔をしてる。はぁ…さっきのニヤけてた意味はこれだったんだ。 「お?クラレットだけじゃなくて、俺のことも見つめてくれるの?口が(とが)ってないともっと嬉しいけどね。」 クラレットとの楽しいひと時は、いつも早く過ぎて行く。名残惜(なごりお)しいけど、夜は寝ておかなくちゃ。 朝がきて、宿を出たら進む方向は別々になる。 身支度(みじたく)をして、朝食を済ませて、少しクラレットと過ごして。宿を出たら、また(しば)しのお別れ。 さて。朝の空気は清々(すがすが)しい。風も程良(ほどよ)く吹いている。 山は天候(てんこう)が変化しやすいから、進むか止まるか退()くかを 的確(てきかく)判断(はんだん)できないと命に(かか)わる。…と、身構(みがま)えたけど山脈も容易(たやす)()えて、神殿まで難無(なんな)辿(たど)り着けた。
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