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―――なんだろう? 玄関付近が騒がしい。また宿泊客が増えるのか。今夜は3組かな?
「随分賑やかだね?何かあったのかな?」と、クラレットも玄関の方を向いた。
こういう時は、知らない人でも意気投合したりする。宿の主人が 何があったのかと尋ねると、頭にバンダナをして鼻ピアスをしてる男性が話し出した。小さくザワつきながらも、宿の人達も客も みんな静かに聞いている。
「それがよ、でっかいモンスターが暴れたみたいなんだ。」
「この平原辺りじゃ、数も大きさも知れてますよ?」
「いーや、相当 でかいやつだ。そこに大きい沼があるだろ?沼の辺りの巨岩が砕かれまくっていてよぉ、沼の竜も一撃で倒されてたんだ。あんなもん、そこいらのモンスターのレベルじゃない。」
―――――んん? 私の中でその謎は解決してる気がする。ということで、クラレットとの時間を大切にしよう。
クラレットを見ると、みんながよっぽど大きな龍が通ったんじゃないかと盛り上がる、その様子に興味津々になってる。
ぽんっと、また肩を叩かれた。振り向くまでもなく、シアンだってわかる。一応振り向いたら やっぱりシアンで、ニヤけ顔をしてる。はぁ…さっきのニヤけてた意味はこれだったんだ。
「お?クラレットだけじゃなくて、俺のことも見つめてくれるの?口が尖ってないともっと嬉しいけどね。」
クラレットとの楽しいひと時は、いつも早く過ぎて行く。名残惜しいけど、夜は寝ておかなくちゃ。
朝がきて、宿を出たら進む方向は別々になる。
身支度をして、朝食を済ませて、少しクラレットと過ごして。宿を出たら、また暫しのお別れ。
さて。朝の空気は清々しい。風も程良く吹いている。
山は天候が変化しやすいから、進むか止まるか退くかを 的確に判断できないと命に関わる。…と、身構えたけど山脈も容易く越えて、神殿まで難無く辿り着けた。
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