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神殿は…、圧巻というか、荘厳というか。
全てを石で造られている。
上の方と屋根は白で、下が黒の、御影が映る程に艶やかな石で建てられている。太陽の加減では凄まじい目眩ましになりそうだわ。
神殿の正面には 左右に石柱が並んでいて、その間を進んだ先に、白い布を纏った人がまばらに立っている。布には黒と緑の模様で豪華な縁取りが入ってる。あれが神殿の人で、きっと案内人だと思う。
シアンとガランスも無言で進んで行く。
案内人がいる場所より手前で、シアンが立ち止まって私を見た。
「なぁ、望みは決めてるのか?」
「私は決まってる。このために来たんだから。」
「そうか。ガランスは?」
「………無い。」
――え!?
「嘘だろ!?折角だから、何か考えろよ。」
「無いもんは無い。…そう言うシアンは決まってるのか?」
「うーん、どっちをお願いするか迷ってる。」
「ねぇねぇ、私は決まってるから、先に行ってみてもいい?」
2人が頷いたから、案内人の目の前に急いだ。
一番近くに立つ人が、一歩前に出て、話し始めた。
「ようこそ、理の神殿へ。」
「あ、…こんにちは。」
「良く、ここまで辿り着けましたね。ここは、運も強さも兼ね備えた者でなければ、容易に辿り着けない場所なのですよ。」
「ん?あなただって、ここにいるじゃない。強いんですか?運だけめちゃくちゃ強いとか?」
「クスッ」
あ、笑ったらあどけない。声も見た目も中性的で、でも背は高いから男性かと想像したり…少年なのかな?
「強い護衛と来ましたから。」
「あ、そっかぁ。」
「運がめちゃくちゃ強かったら、1人でも 此処から出ることができるかも知れませんね。」
その言い方は…なんだか、神殿から出たいのに出られないと言ってるような…。表情も一瞬 寂しそうに見えたけど、深く考えないでおこう。少年のホームシックってことで…あ!
「そうだっ。お願い事。」
「畏まりました。ご案内いたします。」
ワクワクするー!神殿の奥ってどんな風になってるんだろう。あ、シアンとガランス…
シアンは、別の案内人と話してる。
ガランスは…
「先に休憩所に行ってる。」
休憩所かぁ…「わかった。」と私が手を振ったらガランスも振り返して、案内人と左の奥へ入って行った。
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