0人が本棚に入れています
本棚に追加
少年のあとを歩きながら見上げたら、壁の上方に明り窓がある。だから明るいのか。
いや、明るいけどさ…気になる。
「あのぅ、壁に穴が開いてるけど、冬 寒くないですか?」
「穴?」
少年は驚いた顔をした。こういう場所の人達って、もっと清ましてると思ってた。私の勝手な偏見かな、少年が珍しいのかな?
「ほら、窓の穴。」
私が指差した方を見て、「あ。」と言いながら今度は微笑んだ。
「窓は水晶を嵌め込んであるから、風は入りません。」
豪盛だな。神聖で厳かなイメージすっかり消えたわ。
「風は入りませんけど、石って冷たいんですよね…。」
ハッ!
「そうだね、苦行になりそうだね。」
「クスッ…フフッ。」
「…どうして笑わないんですか?笑っちゃ駄目なんですか?」
「あ…フフッ、響くから。」
「あ………。」
「場所によって、驚くくらい響いてしまうんですよ。
休憩所というのは、下には土があり、植物もあり、外から引いた水を流している、広い温室のような場所です。そこでは思い切り笑えます。」
…不憫だ。気になる所が多すぎる、うっかり余計なことを訊いてしまいそう。…って、止まった?
―――この部屋の中?扉じゃないのね、布をくぐればいいの?
少年が片手で布をすくうように右に寄せてくれた。
「どうぞ。」
「ありがとう。行ってきます。」
最初のコメントを投稿しよう!