顔しか勝たん☆

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少年のあとを歩きながら見上げたら、(かべ)の上方に明り窓がある。だから明るいのか。 いや、明るいけどさ…気になる。 「あのぅ、壁に(あな)が開いてるけど、冬 寒くないですか?」 「穴?」 少年は(おどろ)いた顔をした。こういう場所の人達って、もっと()ましてると思ってた。私の勝手な偏見(へんけん)かな、少年が(めずら)しいのかな? 「ほら、(まど)の穴。」 私が指差(ゆびさ)した方を見て、「あ。」と言いながら今度は微笑(ほほえ)んだ。 「窓は水晶(すいしょう)()()んであるから、風は入りません。」 豪盛(ごうせい)だな。神聖(しんせい)(おごそ)かなイメージすっかり消えたわ。 「風は入りませんけど、石って冷たいんですよね…。」 ハッ! 「そうだね、苦行(くぎょう)になりそうだね。」 「クスッ…フフッ。」 「…どうして笑わないんですか?笑っちゃ駄目(だめ)なんですか?」 「あ…フフッ、(ひび)くから。」 「あ………。」 「場所によって、(おどろ)くくらい響いてしまうんですよ。 休憩所というのは、下には土があり、植物もあり、外から引いた水を流している、広い温室のような場所です。そこでは思い切り笑えます。」 …不憫(ふびん)だ。気になる所が多すぎる、うっかり余計なことを()いてしまいそう。…って、止まった? ―――この部屋の中?(とびら)じゃないのね、(ぬの)をくぐればいいの? 少年が片手(かたて)で布をすくうように右に()せてくれた。 「どうぞ。」 「ありがとう。行ってきます。」
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