顔しか勝たん☆

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部屋から出たら異空間(いくうかん)から帰ってきた気分。少年、やっぱりあのまま待ってたんだ。 「…それが、あなたの願いだったんですか?」 え…その質問の真意(しんい)は?不安になるんだけど… 「まだ(かがみ)を見てなくて…。」 少年が「でしたら、」と、手を()(しめ)した壁を見たら、浮世離(うきよばな)れした美人が映ってる…って私か。(すご)い。(よろこ)びより違和感(いわかん)が凄い。 「美人で可愛くなりたかったんです。」 「生きる女性達の ほとんどが望むことでしょう。あなたは努力(どりょく)してそれを手に入れたのですね。」 …なんだろう、あまり(うれ)しくない。(むね)がモヤつく。 「これは(ぼく)の考え方ですが、ここで望みを(かな)えて終わりではありません。本当の望みは 他にあって、その望みを叶えるために必要なものを()に来てるんだと思っています。」 あ……そうか。私がどうして綺麗になりたかったのか。 「そうだね。ありがとう。」 シアンとガランスは休憩所という名の広い温室にいた。 「お待たせ〜。」 「………どちら様?」 「いやいや、服装(ふくそう)は変わってないんだから わかるでしょ。」 「ガランス大変だ、仲間が()()ぎにあったらしいぞ。」 「ああ、しかも相当美人(そうとうびじん)のな。」 「いやいやいや、もしも〜し。この(こえ) ()いたら(わか)るでしょ。」 「シアンほど ふざけるつもりはないが、声も(ちが)って聞こえるぞ。」 「お前、声まで美声(びせい)に?そういやステータスの分配は他が低くなるだろ?どこが()がったんだ?」 「まだ わかんない。」 「お前、あの怪力(かいりき)(うしな)ったんじゃ…」 「それは(こま)るな。シアンが素人(しろうと)のアシエを仲間に()れたのは あの怪力を見たからなのに。」 え… 「わっわっ、ガランス〜。今、肝心(かんじん)なのはそうだ、外で鞭を振ってみよう。日が()れる前に。」 言い終わる前に シアンは 休憩所から走って出て行った。 怪力?ううん、武器(ぶき)性能(せいのう)だよ。武器の(くせ)長所(ちょうしょ)を引き出してるだけなのに。ま、(ため)しますか。 案内人の少年も(そと)までついて来た。仲間より見守ってくれてる感が大きいから不思議。 んー、ちょっと鞭が重く感じる。 「フグゥッ…えい!」 ーーーふよ〜ん …え、ふよん? ーーーーボテッ 嘘……「ガランスぅぅ…」 「最早(もはや)、アシエの面影(おもかげ)()()せないのだが。」 「シアン…」 「うう…あ、案内人さん、もう1つその(ころも)あります?うちの仲間が1人ここで(はたら)くことに…」 「ちょっとぉ!」 「お前っ、その顔でくっつくなよ。セクハラだ!」 え……ハッ、これは死活問題(しかつもんだい)だわ。 「残念ですが、神官(しんかん)人数枠(にんずうわく)は決まっています。 日が暮れる前に、中で夕食をどうぞ。 今後(こんご)のことは、その(あと) ゆっくり考えましょう。」
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