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部屋から出たら異空間から帰ってきた気分。少年、やっぱりあのまま待ってたんだ。
「…それが、あなたの願いだったんですか?」
え…その質問の真意は?不安になるんだけど…
「まだ鏡を見てなくて…。」
少年が「でしたら、」と、手を差し示した壁を見たら、浮世離れした美人が映ってる…って私か。凄い。喜びより違和感が凄い。
「美人で可愛くなりたかったんです。」
「生きる女性達の ほとんどが望むことでしょう。あなたは努力してそれを手に入れたのですね。」
…なんだろう、あまり嬉しくない。胸がモヤつく。
「これは僕の考え方ですが、ここで望みを叶えて終わりではありません。本当の望みは 他にあって、その望みを叶えるために必要なものを得に来てるんだと思っています。」
あ……そうか。私がどうして綺麗になりたかったのか。
「そうだね。ありがとう。」
シアンとガランスは休憩所という名の広い温室にいた。
「お待たせ〜。」
「………どちら様?」
「いやいや、服装は変わってないんだから わかるでしょ。」
「ガランス大変だ、仲間が追い剥ぎにあったらしいぞ。」
「ああ、しかも相当美人のな。」
「いやいやいや、もしも〜し。この声 聞いたら判るでしょ。」
「シアンほど ふざけるつもりはないが、声も違って聞こえるぞ。」
「お前、声まで美声に?そういやステータスの分配は他が低くなるだろ?どこが下がったんだ?」
「まだ わかんない。」
「お前、あの怪力を失ったんじゃ…」
「それは困るな。シアンが素人のアシエを仲間に入れたのは あの怪力を見たからなのに。」
え…
「わっわっ、ガランス〜。今、肝心なのはそうだ、外で鞭を振ってみよう。日が暮れる前に。」
言い終わる前に シアンは 休憩所から走って出て行った。
怪力?ううん、武器の性能だよ。武器の癖や長所を引き出してるだけなのに。ま、試しますか。
案内人の少年も外までついて来た。仲間より見守ってくれてる感が大きいから不思議。
んー、ちょっと鞭が重く感じる。
「フグゥッ…えい!」
ーーーふよ〜ん
…え、ふよん?
ーーーーボテッ
嘘……「ガランスぅぅ…」
「最早、アシエの面影を見い出せないのだが。」
「シアン…」
「うう…あ、案内人さん、もう1つその衣あります?うちの仲間が1人ここで働くことに…」
「ちょっとぉ!」
「お前っ、その顔でくっつくなよ。セクハラだ!」
え……ハッ、これは死活問題だわ。
「残念ですが、神官の人数枠は決まっています。
日が暮れる前に、中で夕食をどうぞ。
今後のことは、その後 ゆっくり考えましょう。」
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