じかん、じかん。

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 ***  そのゲームのシナリオは、ホームページにも書かれている通り。  ヒロインは、小学生の女の子。ある日自宅で普通に眠っていたはずが、目覚めると奇妙な館の中で一人閉じ込められちゃっている……というもの。  そこは、まるで西洋のお城のような洋館の中。  まるでお姫様が寝ているようなベッドで、ドレス姿で女の子は目覚めるのね。起きたら外は朝で、天井からはシャンデリアみたいなお洒落な照明がかかってて、大人の女性が使うような金色の鏡台があって。  あんまりも素敵な部屋だから、女の子は最初夢の中にいるんじゃないかと勘違いしてしまう。元々、ディズニーのお姫様とかに憧れるタイプの女の子だったみたい。昨日の夜も絵本を読んで眠ったものだから、きっと夢の中でもそういう妄想をしているんだろうって考えたんでしょうね。まあ、いきなり誘拐されて洋館に閉じ込められてました、なんて誰も信じられないだろうし、仕方のないことじゃないかしら。  けれどそのまま部屋で待っていても、誰も部屋に入ってこない。  ベッドに中に入ってもう一度眠ろうと思ってもう、もう眠くない。  夢か現実かわからないけれど、とりあえずラチがあかないと思って女の子は部屋を出ようとするんだけど……部屋には、窓にもドアにも鍵がかかっているわけ。だからまず、ドアの鍵を探すところからゲームがスタートするってわけ。うん、ホラーゲームだけど、雰囲気としては脱出ゲームに近いのかな?最初のミッションは、この部屋の中で鍵を見つけ出して、ドアから外に出るってことだから。  どこに鍵があるかは……あ、ネタバレになるし、面白くないからここは伏せておくわ。  それで、女の子は鍵を見つけて、ドアから廊下へ出るの。屋敷はとても広いけれど、廊下にも他の部屋にもやっぱり人の姿はない。  そして玄関はやっぱり鍵がかかっていて開かない。玄関から外に出るにせよ、窓から外に出るにせよ、新しい鍵が必要なのは間違いないみたい。  ただ、食堂まで行くとね?  テーブルの上に、一枚の紙があって、そこにこんなことが書かれているのよ。 『この屋敷から出る方法はある。  月が照らす時間に、赤い目の怪物を探せ。  その者が、お前を連れ去ってくれることだろう。  新たな世界が見たいのならば、月夜に怪物と遭遇せよ』
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