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さっきも偶然だと言っていた。だいたい、モテる黎がわざわざ百合を口説く必要などない。住む世界も違う。大丈夫だろうと思い直した。
「百合。彼は知り合いだよ。堂本コーポレーションの御曹司。そして僕の大学の同窓生だ」
「え?本当に?すごい偶然ね」
「ああ、すごい偶然だ。卒業してから会ったことはない。五年ぶりだ。元気だったか?」
「ええ。何か、お仕事とプライベートの両方でこちらに来ているとか言ってたわ」
「チケットの件。僕から連絡しておこう」
「そう?ならお願いします」
「……それから。彼から、何か言われた?」
「……え?特に何も言われてないけど」
神楽は安心した。その後、食事をしてホテルへ入った。
神楽は黎に電話をするか、メールをするか迷った。電話をしていい時間かどうかもわからないので、メールにした。
事の次第をメールに書いて、あさっての受付に名前を言えばチケットを受け取れるようにしたと連絡する。
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