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友人として
コンサートの日。
黎は大きな花束を近くのフラワーショップで作ってもらった。三月だったので、百合はなかったが、彼女のイメージの白い花をメインに黄色を混ぜてもらった。
ビタミンカラーと言われている黄色を彼女にあげたかった。最初に会った時、元気がないように見えたからだ。
黎は経営者の息子だけあって、人の顔色を見たり、様子を見ただけで大体その人の気持ちの浮き沈みを当てることができた。
受付で受け取った席は、関係者席だけあって良い席だった。周りの客はパンフレットに出ている彼女の写真を見ながら、美人だと言っていた。
そうだよ、実物はもっと可愛いんだとひとりほくそ笑む。知り合いが褒められているような気持ちになった。
演奏が始まった。
最初はオーケストラだけでストラヴィンスキーの春の祭典を。その後、ショパンのピアノコンチェルト一番だった。
彼女はこちらを見たような気がした。気のせいだろう。
だが、燃えるような深紅のドレスに身を包み、綺麗に髪を結んでいる彼女はこの間よりずいぶんと大人びて見えた。
演奏は素晴らしかった。
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