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「いや、日本人だからそりゃあ日本語でしょう……」
黎は呆れた顔をして彼女を見た。
「ハックシュン!」
彼女は大きなくしゃみをして、両手で口を押さえた。
「大丈夫?」
「……は、い、ックション!」
続けてくしゃみをする彼女はブルッと身体を震わせ両手で身体を抱きしめた。
「スカーフなくなっちゃって、寒くなっちゃった」
茶目っ気のあるくりっとした瞳をこちらに向けた。
笑顔が可愛い。
「良かったら、これを……」
黎はそう言って、たたんで鞄に入れていた自分の薄いブルーのマフラーを広げて彼女の首にかけた。
「え?」
びっくりしたのか、後ずさっている彼女を見て、黎は苦笑いした。
「あ、すまない。知りもしない男からもらったマフラーなんてしたくないか?」
「え、っと。あの、これからお帰りになるんですよね?お返しできなくなるので、いいです……」
彼女が首からマフラーを離そうとしたので、黎は手を上げた。
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