友人として

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 わざわざ自分のために色を選んだ?花を?この人は私の心を知っているのかしら?まじまじと彼を見つめた。  神楽とは違う、何かオーラのようなものが彼の周りを漂っていることに百合は初めて気付いた。  「ありがとうございます。褒めて頂けて嬉しいです。今日は堂本さんにお礼のつもりでしっかり演奏させていただきました」  「え?」  百合はにっこりと微笑んで黎を見ながら言う。  「おととい、お目にかかったとき、私は演奏のことで迷いがあり、非常にメンタルがナーバスになっていました。そこへ、堂本さんに名前を知っていて頂いたことがきっかけとなって、私を応援して下さる方のために頑張ろうと気持ちを入れ替えることが出来たんです。今日の演奏はその成果です」  黎はびっくりした。  「それは、嬉しいな。つまり、俺のことを考えながら演奏をしてくれたということかな?」  百合は、まさかそういう風にとられるとは思っていなかったので、また赤くなった。
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