友人として

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 そう言って、彼女に箱を渡す。  「え?いやだ、お礼をするのはお借りした私の方です。花も頂いているのに、やめて下さい」  彼はにっこり笑い、差し出し続ける。否やは言えないと諦めて、受け取った。  「開けてみて」  「ああ、マフラー。綺麗なピンク……この色」  「君がテムズ川へ流したスカーフと同じ色だろ?探したんだ。これなら使ってもらえそうだからね」  百合は微笑む彼を見て、感動した。ここまで、自分の気持ちを読んでプレゼントを自ら選んでくれる男性なんて初めてだった。何か彼女の心の中に動くものがその時あった。  彼の微笑む顔を見つめていたら、目を奪われる。なんだろうと思う。ドキドキする。  「栗原さん?気に入らなかった?」  黙っている彼女を心配そうに見つめている。  「あ、いいえ、とんでもない。ありがとうございます。嬉しいです。却って申し訳なかったです。でも大好きな色。使わせて頂きます」  彼女は立ち上がり、綺麗に頭を下げて礼をした。  「じゃあ、そのお礼をもらいたいんだけどいいかな。君の友人になりたいんだ。連絡先教えてもらえる?」
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