友人として

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 「いや。マフラー、すまなかったな。彼女はそれのおかげで風邪を引かずにすんだかもしれない」  「役に立って良かったよ。それじゃ、また」  手を上げて去って行く彼を神楽はじっと見つめ、頭を振ると百合のいる控え室へノックをした。  「はい」  「俺だ。帰るけど準備はいい?」  「ええ。入ってちょうだい」  中に入ると、まだドレス姿の彼女がいた。  「百合、まだ着替えてなかったのか?」  「え?ああ、堂本さんが来るってわかってたから、なんとなく着替えないでお会いした方がいいかなと思って……」  百合が顔を赤らめて言う。神楽はギリギリと手を握った。  「……じゃあ、着替えて。外に居るよ」  「はい。ごめんなさい。すぐに着替えます」  外に神楽は出た。そして扉に背を預け、ため息をついた。  恐れていたことが起きた。今後彼が近寄ってこないとは今日の様子からとても思えない。    黎は、神楽に遠慮するようなタイプでもない。何を話したのかあとで問い詰めようと決めた。  着替えて出てきた百合は疲れていた。緊張もあったのだろう。安心したのか、あくびをしている。  
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