新たな事業

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 「はい。ピアニストのマネージャーをしていました。大学時代から知っていますが、彼はいずれ自分で音楽会社を経営する夢があったから、私と同じ経営学を一緒に勉強していたんです。夢に向かって真っ直ぐに生きている、優秀な男なんですよ」  「……なるほど。その会社は出資して潰れるような小さな会社ではないんだろうな。どちらにしても役員会へかける前に、財務状況などは取り寄せて調べる必要があるからな」  「割と有名な所ですので、大丈夫だと思います」  父はしばらく目をつむって黙って考えていたが、顔をあげると黎を真正面から見据えて言った。  「よし。やってみてもいいだろう。まずはどういったことをそれでしたいのか、案をあげろ。それとその会社の、先ほど話した通り現在の経営状況をまとめたものを作ったら役員会でプレゼンさせてやる。それで通れば、出資金額を決めて、その範囲内で試しに二年くらい状況を見るというのでどうだ」  「もちろんそれで十分です。ありがとうございます。頑張ります」  黎は満面の笑顔で答えた。
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