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「そうですね。そうしましょうか。じゃあ、お茶じゃないですね。堂本さんたら嘘つきです」
口をとがらしている彼女を想像する。可愛い。どうしたらいいんだろう。
「ごめん。いいだろ?」
「はい。よく考えたら私の都合でしたね、ごめんなさい」
「いいよ。全然。友達だろ、俺たち」
「……そうでしたっけ」
「そうだよ」
「まだ、知り合いです。これから友達になるかもしれませんけど……」
相変わらず、壁が厚い。そうか、俺はまだ知り合いなのかと落ち込む。俄然やる気が出てきた。
「そうか。じゃあ、今度会ったら友達になれるように努力するよ。楽しみにして」
「え?何それ……」
「君が友達に俺を昇格してくれないと知り合いのままなんだろ?頑張るしかないよな」
「……堂本さんは意地悪です。そんな言い方しなくても」
「俺は意地悪じゃないぞ。友人にしてくれと言ったのに、まだ知り合いとか言う君が意地悪なんだ」
ため息をつく百合の声がする。
「わかりました。友人候補の堂本さん。それでは約束しましょう。いつがいいですか?」
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