再接触

2/12

1120人が本棚に入れています
本棚に追加
/235ページ
 「そうですね。そうしましょうか。じゃあ、お茶じゃないですね。堂本さんたら嘘つきです」  口をとがらしている彼女を想像する。可愛い。どうしたらいいんだろう。  「ごめん。いいだろ?」  「はい。よく考えたら私の都合でしたね、ごめんなさい」  「いいよ。全然。友達だろ、俺たち」  「……そうでしたっけ」  「そうだよ」  「まだ、知り合いです。これから友達になるかもしれませんけど……」  相変わらず、壁が厚い。そうか、俺はまだ知り合いなのかと落ち込む。俄然やる気が出てきた。  「そうか。じゃあ、今度会ったら友達になれるように努力するよ。楽しみにして」  「え?何それ……」  「君が友達に俺を昇格してくれないと知り合いのままなんだろ?頑張るしかないよな」  「……堂本さんは意地悪です。そんな言い方しなくても」  「俺は意地悪じゃないぞ。友人にしてくれと言ったのに、まだ知り合いとか言う君が意地悪なんだ」  ため息をつく百合の声がする。  「わかりました。友人候補の堂本さん。それでは約束しましょう。いつがいいですか?」
/235ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1120人が本棚に入れています
本棚に追加