序章

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 突然、鼓膜を突き破るような爆音が響いた。  その直後、強い風が吹き荒ぶ。  ビルが崩れる。 「テロか!」  俺が叫ぶよりも先に動いたのは兄だった。兄は鞄も、防具もオレに放り投げて、竹刀だけ持って煙が上がった方向へ走り出した。 「紫水?」 「女の人がいる! お前は早く救急車を呼べ!」  視線の先には白衣の女性が確かにいる。  今にも転びそうな不安定な足取りで懸命に駆けている。彼女の背後には、追いかけているのだろういくつかの人間が見受けられた。  避難しているように見えないのは、走っている両者の形相だろう。
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