序章

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 2  俺が高校一年生、紫水が高校三年生の頃だ。 「紫水。おめでとう」  俺はそう言って隣に並んで歩く兄に拍手した。兄はやっぱりボンヤリしていたが、俺にそう言われてすぐに微笑んだ。  兄の部活鞄には、剣道の大会で二位を表彰する盾が入っている。  今回の試合も紫水は不参加の予定だった。それを「最後の大会なんだから」と説得してくれたのは何も友人達だけではない。 「これで部活が終わりだなんて勿体ないな」  俺がそう言うと、いつもと同じように紫水は苦笑したまま頷きもしない。 「どこの大学に入るか決めてるのか?」  まるで俺自身が兄のように進路を尋ねると、兄はゆるゆると首を横に振った。
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