序章

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 俺と兄、身長差こそある。が、俺の態度はいつだって大きかった。他者から見れば、どちらか兄で弟かなんて分からないだろう。 「そうだね」  煮え切らない兄の言葉に俺はため息をついた。 「あのなあ。どうして、紫水はいつもそうやって投げやりなんだ? 自分のことなんだからもっと責任を持って考えたらどうだ?」  昔の言葉に「男はもっと堂々とすべきだ」なんてものがあったが、これは紫水にあてはまっていると思っていた。だから、今日こそ俺は紫水の本気を……感情的になる姿を見たかった。
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