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三女夫妻が任されている3号店は、業績が悪かった。
国道に面した戸建て店舗で広い駐車場を有しているが、少々辺鄙な場所にあるので来客が少ないらしい。これまでも何度か社内で閉店の打診がされてきたものの、かろうじて営業を続けていたそうだ。
そんな中、事が起きた。
3号店はアルバイトの女子大生が3人いてシフト制で働いてもらっていたのだが、その内の2人に、ここの旦那が手を出した。1人ではなく、2人である。信じられない。もちろん、2人は友達同士だった。
初めに手を出された方が、キレて旦那の妻にチクった。
旦那は今年50歳、妻である大介の叔母より7つ年下だった。旦那は年齢よりかなり若く見え、人懐こく一見優男風で、そこそこもてた。
元から浮気性だったこともあり、今回の所業は『そんなに若い女がいいのか』と叔母の逆鱗に触れた。
アルバイトの女子大生たちは客のいる店内で大立ち回りを演じた挙げ句に全員辞めてしまい、27歳の1人娘が店を手伝っているものの、父親をゴミを見る目で見ているという。
「離婚はないと思うが……そうだな、今回はどうだろう」
これまでも何度か浮気がバレて騒動を起こしているが、旦那にベタ惚れしている叔母は何だかんだと許してしまう。だから本人も懲りないのだ。
「悪い人じゃないんだけどな。子供の頃はよく遊んでもらったし、優しくて気のいい叔父さんって感じだったんだけど」
ついさっき3号店で事情を聞かされたという大介は、深いため息をついた。
宮原は苦笑を漏らす。
「あの旦那はだめだな。今落ち着いても、またやるぞ」
宮原は、これまでの社員旅行で三女の旦那と面識があるらしい。根っからの浮気性で病気みたいなもんだ、と笑って言った。
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