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しばらく歩いていると、遠くにアロマのような子が見えてきました。
「アロマ!」
呼ぶと、振り向いてくれました。けれど、なぜかとても驚いた顔をして、ダッと走り出してしまいました。
「ちょっと待ってよ!」
アロマが向かった先は、双子の白樺の木の間。そこだけ景色が歪んでいるように感じましたが、そんなことは気にしません。
「えいっ!」
シャミーも同じように木の間を飛び越えると、追いかけてきたはずのアロマが見当たりません。けれど……何もかもが、とても大きい!
まわりが大きくなったのではありません。シャミーが小さくなってしまったのです!
「う、うわぁ……」
草も木のようですし、木の葉だって、小さなボートくらいの大きさです。シャミーが立っている地面だって、人間の大きさなら花畑だと思うのでしょうが、シャミーから見れば花の森です。
でも、それ以上にシャミーの目を奪ったのは、広場のような大きい切り株でも、真っ赤な木苺でもありません。
周りをひらひらと蝶のように飛ぶ……
そう、妖精。
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