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「妖精だあ……!」
あまりにも妖精がヒラヒラと身軽そうに飛ぶものですから、ジャンプしたら飛べるかも、と思い、シャミーは思い切りジャンプをしました。すると、
フワリ
体が宙に浮きました。そして、すごい速さであの広場のような切り株にぶつかって……
ゴツン……ギャッ!
「いったぁ」
ぶつかりました。すると、どこからかスズを転がしたような笑い声が聞こえてくるのです。
「アハハハッ。下手だね。赤ちゃんでもアナタより上手よ。まるで初めて飛んだみたいじゃない」
シャミーがムッとして声のした方を向きました。と、そこには妖精が。
「わわっ。よよよ、よ、妖精が、いるう、喋ってるしぃ!」
妖精に話しかけられたというあまりの驚きに、舌がもつれ、上手に話せません。
対して妖精は、キョトンとしています。
「え? 何言ってるの。アナタも妖精でしょ?」
「えっ?」
シャミーは自分の体をみつめました。
服は、森に来るときに来ていものとは違い、ボートのように見えた木の葉でできていました。木靴を履いていて、頭に触れると、苺の花があるのがわかります。
なにより目を引いたのが、空色に輝く羽。
自分の体を見たあと、目の前にいる妖精をまじまじと眺めます。
尖った耳、青紫の羽、黒いおさげの長い髪の毛、鳥の羽を使って作ったスカートに、麻で編んだ靴。
正真正銘の妖精です。
その妖精が口を開きました。
「そういえば、名前を聞いていなかったね。私はシャム。よろしくね」
「あ、私、シャミー。よろしく」
しどろもどろになりながらも挨拶をすると、シャムはニッコリと笑いました。
「ねえシャミー、飛び方、忘れたの?」
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