1.妖精の森

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「そっ……そんなことより、遊ぼうよ。ね?」  無理に笑って二人を見ると、少しばかり怪訝そうな顔をして、互いに顔を見合わせています。 (ひええ、人間ってバレルところだった。本当のことを言ったら、何されるかわからないもん)  そのとき、チリンチリンとスズが鳴りました。 「あっ、いけない。あたしバレエ習ってるの。遅れちゃうから、またね」 「うん、またね、キキ」  シャミーも手を振ります。 「ねえシャミー。正体がなんでも、妖精の森に来るのは初めてなんでしょう? 案内してあげる」  シャムはそういうと、いたずらっ子のように微笑みました。  シャムがふわりと飛び、手招きをしています。 「置いてっちゃうよ」 「わわ、まってぇー」  先ほどシャムに教わったようにやってみると、 フワリ ヒラヒラ  切り株にぶつかることのなく、蝶のように飛ぶことができました。  シャムに追いつくと、初めに見かけた、たくさんの真っ赤なキイチゴがありました。いつも食べている大きさの、10倍はあります。 「わぁおいしそう」 「1個食べる?」 「うん!」  小さくてもあれほど甘酸っぱくておいしいキイチゴが、こんなに大きいなんて!  思わずうっとりしていると、シャムがあのキイチゴを2つ持ってきました。 「え、2つも?」 とシャミーが聞くと、シャムはフルフルと首を横に振りました。 「一つはシャミーの。もう一つは私の。食べながら行きましょ」  シャムから手渡されたキイチゴは意外と重く、ずっしりとしていました。 「ここはキイチゴ畑。みんなが自由に食べられるの。ほかにもブルーベリー畑、ブラックベリー畑にクランベリー畑とかがあるわ」  次に見たのは、シャミーが2度もぶつかった、あの大きな切り株です。 「ここは切り株広場。集会をしたり、自由に遊んだりできるの」  キイチゴは、まだ半分も食べていません。
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