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「そっ……そんなことより、遊ぼうよ。ね?」
無理に笑って二人を見ると、少しばかり怪訝そうな顔をして、互いに顔を見合わせています。
(ひええ、人間ってバレルところだった。本当のことを言ったら、何されるかわからないもん)
そのとき、チリンチリンとスズが鳴りました。
「あっ、いけない。あたしバレエ習ってるの。遅れちゃうから、またね」
「うん、またね、キキ」
シャミーも手を振ります。
「ねえシャミー。正体がなんでも、妖精の森に来るのは初めてなんでしょう? 案内してあげる」
シャムはそういうと、いたずらっ子のように微笑みました。
シャムがふわりと飛び、手招きをしています。
「置いてっちゃうよ」
「わわ、まってぇー」
先ほどシャムに教わったようにやってみると、
フワリ
ヒラヒラ
切り株にぶつかることのなく、蝶のように飛ぶことができました。
シャムに追いつくと、初めに見かけた、たくさんの真っ赤なキイチゴがありました。いつも食べている大きさの、10倍はあります。
「わぁおいしそう」
「1個食べる?」
「うん!」
小さくてもあれほど甘酸っぱくておいしいキイチゴが、こんなに大きいなんて!
思わずうっとりしていると、シャムがあのキイチゴを2つ持ってきました。
「え、2つも?」
とシャミーが聞くと、シャムはフルフルと首を横に振りました。
「一つはシャミーの。もう一つは私の。食べながら行きましょ」
シャムから手渡されたキイチゴは意外と重く、ずっしりとしていました。
「ここはキイチゴ畑。みんなが自由に食べられるの。ほかにもブルーベリー畑、ブラックベリー畑にクランベリー畑とかがあるわ」
次に見たのは、シャミーが2度もぶつかった、あの大きな切り株です。
「ここは切り株広場。集会をしたり、自由に遊んだりできるの」
キイチゴは、まだ半分も食べていません。
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