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恐らく豹は、皆が実験室の隅にあるマンホールの下に降りたのに気付き(そこは豹も、大黒に連れられて何度か通り抜けて来た場所だったので)、閉められた扉をなんとか開けようともがいた結果、その怪力で蓋を「叩き壊して」下に落とし。それで、洞窟へと降りて来たのではないか。
……などと、豹の行動を冷静に考えてるヒマなど、航己にはなく。今はもう、皆がいるところ、つまり「岩の壁の下」へいかに早く降りるかしか考えてなかった。
「おい、今の音はなんだ?!」
「もしかして、豹が下に降りて来たの……?!」
壁の下にいた純平たちにもその音は聞こえていて、里緒の問いかけに航己は「その通りだ!」と答える時間も惜しく。
「い、今からそっちへ行く!」と叫ぶと、自分の足を壁の下へと降ろし、どうにか壁の凸凹に足場を探そうと試みた。すると。
しゃああああああっ……!!
それはまさに、「飛ぶような速さ」とでも表現すればいいのか。野性味に満ちたとてつもないスピードで、そして生まれ持った体のしなやかさを駆使し、豹は洞窟の狭い隙間もなんなくすり抜け。やっと全身を壁の方へと降ろし、両手だけを壁の縁にかけている航己に向かって、猛然と飛びかかろうとしていた。
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