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 純平はそのまま、息を飲むような心境でスマホと海面を交互に見比べた。1分半、2分、2分半……時計の表示は3分になろうかとしているのに、未だに海面に動きはない。純平は先ほどの時間感覚が間違っていなかったことを再認識し、そして今度こそ本当に危ないのではと思い始めた。  さっきの体感では、恐らく5分近くは経過していたはずだ。ならば、そのくらいまでは待ってみよう。もし5分過ぎてもなんの変化もないようだったら……純平は自分のその判断が、どうか「手遅れ」みたいなことになりませんようにと祈りながら、スマホの時計表示にじっと見入った。  時計は3分を過ぎ、4分を経過。あと1分経って、少女が浮んでこなかったら……純平が少し腰を浮かせ、「もしもの時」はすぐに近隣の民家か商店にダッシュ出来るようにと準備を整え始めた頃。時計が4分半を少し過ぎたところで、少女が「ざばあっ!」と勢いよく、海面から顔を出した。  純平は「やれやれ」と思いながら、岩場に腰を降ろした。少女は何事もなかったように岩場に上がり、膝を曲げて屈伸運動などをしている。そんな少女を見ながら、純平が独り言のように「凄いね」と呟くと。少女はくるりと純平の方を向き直り、先ほどのような「にこり」とした笑顔を見せ。それから、「すう……はあ……」と深く深呼吸をして、三度(みたび)海の中へ飛び込んで行った。
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