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一番肌に馴染んでいたはずの、史之の愛撫では以前のように高まることができないでいた。それでも、向き合って、一つになれる喜びを伝えたかった。ただ今までのように、愛していると言葉にしようとすると、つっかえるものがあった。
「多香子愛してる。このままずっとこうしていたい。君も同じだろう」
「うん」
「あっイク。このままやめないで。うっ」
多香子が高まり、達すると、史之も一緒に果てていた。晴久の凶暴さとは違う、優しくて穏やかで、互いを高め合う行為に溺れていたかった。でも……。
「史くん、相変わらず優しくて、素敵だった」
「僕も多香子はとても素敵だ」
史之が優しくキスをすると、そのまま抱き合った。終わりの時間がきて、車に戻ると多香子は同じ様に後部座席に座った。結局晴久の意地悪は効きませんでした。そう報告すべきか考えていた。
5日間で3人と寝るなんて、誰にもバレたくない。
そう言えば、史之は正弘とのデートを知っていた。昨日のことを言ってしまったのは軽率だった。仕方がないと割り切ることにした。
「塚嶺くんとは、別れるのか」
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