第7章 再構築の前に

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 家につくと、この3日間のことが思い出されてきた。そして、正弘には会ってこのことをきちんと言おう。  決心がつくとスマホを取り出し、メールを打った。そこには情事の最中の、歪んだ自分の顔があった。  メル友の史之からもなにかあったのかもしれないが、正弘はすぐに返事をくれた。また、来週の水曜日に会う約束をした。史之からもメッセージが来ていたが、晴久の犬だという姿が思い出されて、返事が書けなかった。  その晴久からは、ラインのアドレスを送ったのに返事が来ない。なんで、返事をくれないのかと不安を持っていた。  特に用事のなかった週末を過ごし、あっという間に水曜日になった。定時で職場を出ると、いつもの待ち合わせ場所の錦糸町駅に着いた。すでに、来ていた正弘は笑顔でいた。 「待った?」 「さっき着いたところ。変わり映えしないけど、いつもの居酒屋でいいかな」 「うん。個室の方がいいから」  少し歩いたところにある店に入った。二人とも無言だった。
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