第7章 再構築の前に

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 そしてピルの周期が来て、きちんと生理が始まると、晴久に伝えるべきか迷ったが、このことには触れず、日常のちょっとした楽しいことを、メッセージで送っていた。道端に咲いていた花だったり、今日のランチだったり、読んだ本だったり、反応があるまで続けてやると決めた。  週末は久しぶりに野球を見に行くことにした。史之が迎えに来て、千葉のスタジアムについた。ここは海風があると涼しくて気持ちいい。 「多香子、何食べたい? 欲しいもの言って」 「幕の内弁当みたいなので良いかな。並ぶの面倒だし。あっそうだ、たまにはキャラメルポップコーンも」 「風が強いし飛ぶよ」 「気にしてたら、ここでは食べられないよ。前に来たとき、ご飯の詰まったとんかつ弁当が飛びそうになったからね」  ケラケラと笑いながら話す多香子を見て、日常を取り戻した気がしていた。今日の服装は以前よりも流行を意識しているのか、はっきりとしたグリーンのシャツが映えていた。 「多香子のこのグリーンのシャツよく似合ってる」 「褒められると照れるね。ちょっと色を入れるだけで気分も変わるんだよね。はっきりとした色が似合うって言われたから」 「カラー診断っていうのか。面白いね」
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