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「ああいう試合を見ると痺れるし、うわぁって」
「たしかにね。今見ておくべき投手だからね」
「そう、旬の人の輝きって半端ない。素敵すぎ」
「多香子、僕は嫉妬しそうだ。キスしていい?」
「いや。そういう気分じゃない」
プイッと外を見ていた。史之のペースに巻き込まれたくなかったし、またベッドに連れ込まれるのが嫌だった。
「どこかの駅で下ろしてほしいんだけど」
運転席で車を動かし始めた史之に声をかけた。
「家の前じゃなくて」
「そう、何なら海浜幕張でもいいというか、海浜幕張がいい」
「そう、わかった。じゃあまっすぐ行く」
「ありがとう」
すぐに海浜幕張の駅についた。多香子は車を降りて、遠ざかる車に手を振っていた。
目的は野暮ったいと言われたワンピースに変わるデート服を買おうと思った。あの男を見返してやるとはいっても予算の都合がある。アウトレットは見ておいて損はないはず。
何店か見て、似合うと言われた色で気に入ったものがあったので買うことにした。お店の人のお似合いですよは、結構置き去りにしていた。
あとは、誘いのメールを待つだけだった。
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