第8章 初めての秘密の痛み

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 家に帰ると、メールをチェックした。晴久からのメールは来ていなかった。さっきの餃子の写真をメッセージにして、文章もつけた。 「壁打ちにも飽きてきました。もうこれで最後にします。ご迷惑おかけしました。さようなら、もうお会いすることはないと思います」  何日かしたらブロックしてしまおう。そうしたら、史之と本当にやり直しだ。パソコンを閉じて、スマホも充電器に入れて寝ることにした。  朝起きると返事のスタンプが付けられていて、やめないで欲しいとあって、多香子は笑った。結構不器用な人なのかもしれないと、ふと思った。  そこで、おはようとスタンプを送った。メールも来ていてショーのお誘いだった。日程を確認すると、ちょうど予定のない週だった。よろしくお願いしますとこちらも返事を送った。  そういえばあの夜、鞭をください、と言ったことを思い出した。  また直ぐに返信が来て、今度は自宅に招待するとあった。自宅となると逃げ場がないかもしれない。もう覚悟を決めていくしかない。  多香子は赤い縄で縛られ、鞭打たれて壊れずに済むのか心配でもあり、絵的に想像できそうな不思議な感覚もあった。思わず自分の胸を抱きしめていた。もう身体が熱くなってしまった。
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